旭化成ホームズが行った調査によれば、二世帯同居については、「片親になったら」「身体不調や要介護になったら」といった同居せざるをえない事態を想定していることが多いという。また、実際に二世帯住宅を建てた場合、売るときに買い手がつきづらいという側面もある。

自立した親子二世帯ならば、「同居」よりも「近居」が現実的だろう。子ども世帯から見れば、共働きが増えているので、自分の子どもを見てもらえる親が近くにいると助かる一方、親世帯から見れば、一緒に住むのは気苦労があるが、孫のイベント、例えば七五三や誕生日、入学式、運動会などに立ち会えることの喜びは大きい。双方のメリットが一致するのが、近居というスタイルなのだ。

郊外の古い一戸建てを売って、都心寄りのマンションに住みたいという親世帯も多い。この場合、子ども世帯にも便利なので、「資金援助をするのでどうだ?」と親から話を持ちかけるケースも多いと聞く。2010年度の税制改正大綱で、住宅購入時の贈与税非課税の特別枠拡大が盛り込まれたことも追い風となるだろう。

最近は大規模なマンションが増えているので、同じマンション内の近居がやりやすくなった。特に、タワーマンションは、戸数が多いだけでなく、間取りプランのバリエーションが豊富なので、二世帯それぞれの希望条件に合うものが探しやすい。ただし、隣の物件を買って、間の壁をぶちぬくということは極めて難しいので、あえて隣や同じ階に住むことにこだわらないほうがよい。むしろ、子世帯、親世帯それぞれが望む条件を重視して選んだほうがよいだろう。

近くに住むために、どちらかが妥協して、住んでからマンションに不満が出たときに、「親が来なければここに住まなかったのに」などと思ってしまうのは不幸なことだ。自分が住みたいところの近くに、親もいてくれてありがたいと自然に思えるように、自分たちの希望に忠実な住まい選びをするのが望ましい。

また、すでに都心に住んでいる親が、賃貸に回してもいいと思って買った近所のマンションに、子ども世帯が住んでいるという事例もある。長年住んでいるエリアだけに、周辺の相場や住環境、マンションの売れ行きなどから、この物件なら買って損はないと判断できるのは、親の人生経験を生かしたいい事例だろう。

実際にマンションを選ぶ場合のポイントとしては、ライフスタイルの変化に対応できるように、可変性が高い構造のマンションを勧める。例えば、二重床・二重天井の構造であれば、将来的に間取りを変えやすい。「スケルトン・インフィル」の構造であれば、配管スペースが共用部側にまとまっていて、浴室や台所などの水回りも自由にリフォームできる。こうしたマンションであれば、それぞれの事情に応じて、間取りを変えやすいので、一つの目安にするといいだろう。

※すべて雑誌掲載当時