さて、筏下りにあたる20代では、まず、どんなに仕事の内容や時代が変わっても役に立つ「基礎力」を身につけておくことが大切だ。

図にあるように、基礎力とは、他人とうまく折り合いをつけながら働く「対人能力」、自分の感情を上手にコントロールする「対自己能力」、仕事の中で課題を見つけ、それを解決していく「対課題能力」という3つの能力が核となる。加えて、「処理力」「思考力」によって構成される。どんな職場でも役に立つこれらの能力は、「社会人として不可欠な力」と言い換えてもかまわない。

またこの時期に、自分自身を信頼する力、すなわち「自己信頼」をしっかりと築いておくことも非常に重要だ。変化する周辺環境の中でも勝ち続けていけると思える自信、自己に対する有能感――これを獲得するには、成功体験の積み重ねが効果を発揮する。小さな仕事でもいいから確実にやり遂げ、周囲の評価を得る経験を積み上げることによって自己信頼は築かれ、前向きで能動的な行動ができるようになる。

結果として、変化に対しても「これまでやってこられた自分なら、状況が変わっても何とか乗り越えていけるはず」とポジティブな感情が持てるようになるだろう。冒頭で挙げた「変化対応力」を支えるのが、この自己信頼感だ。