景気が悪くなって得する人、損する人

大久保幸夫●リクルート ワークス研究所所長。1961年生まれ。一橋大学卒業後、リクルート入社。人材総合サービス事業部門などを経て、99年、人と組織の研究機関・リクルート ワークス研究所を立ち上げる。著書に『キャリアデザイン入門』I、IIなど。

キャリア形成を会社任せにしても定年まで勤め上げられたのは、経済が右肩上がりだった過去の話である。今後、そうはいかないことは、働く人なら誰しも気づいているだろう。いま、時代は大きな変化の波にさらされている。アメリカ型資本主義の行き詰まりと、日本の経済成長の鈍化により、雇用環境は今後大きな変化を余儀なくされるはずだ。どう変化するかまではわからないが、とにかく「変わる」ことだけは確かである。

今後、日本の景気はしばらく低迷を続けるだろう。これまでの歴史を振り返っても、景気が下り坂のときというのは貧富の差が開きやすくなる。ごく一部の人が得をして、その他の大多数の人が損をするという構造になりやすい。変化を先取りしたり、変化を自分でつくっていけるような人が満足なキャリアを歩むことができるだろうし、富もそこにおのずと集まっていくだろう。

これからの人材に求められるのは何をおいても「変化対応力」である。仕事というゲームのルールがどんどん変わってもそれに適応しようとする意欲と能力があるかどうか。これはいま、新入社員から40代、50代のベテランビジネスマンまで共通するキーワードである。