北欧はなぜ「知的資本経営」の発信地になったのか

フューチャーセンターをつくる!【第3回】

2012年 1月12日 (木)

著者
野村 恭彦 のむら・たかひこ
富士ゼロックス KDIシニアマネジャー

野村 恭彦

イノベーション・ファシリテーター。国際大学グローバルコミュニケーションセンター主幹研究員。富士ゼロックス株式会社 KDIシニアマネジャー。K.I.T.虎ノ門大学院ビジネスアーキテクト専攻 客員教授。慶應義塾大学大学院理工学研究科 開放環境科学専攻 後期博士課程修了。富士ゼロックス株式会社入社後、総合研究所にてCSCW研究、コーポレート戦略部にて同社の「ドキュメントからナレッジへ」の事業変革ビジョンづくりを経て、2000年に新規ナレッジ・サービス事業KDIを自ら立ち上げた。06年から08年まで、東京工業大学SIMOT特任准教授を併任。07年より国際大学グローバルコミュニケーションセンター主幹研究員、「イノベーション行動科学」研究リーダーとして、社会企業家とビジネスプロデューサの行動原理を研究。11年よりK.I.T.客員教授、「ナレッジ・コラボレーション特論」の講座を持つ。「知識創造型組織づくり」の専門家であり、ワークスタイル変革、知識創造の場の設計、社会イノベーション、フューチャーセンターなどを通して「ダイナミックな知の生態系」をデザインする。著書に『サラサラの組織』、『裏方ほどおいしい仕事はない!』、監修に『コミュニティ・オブ・プラクティス』、『ゲームストーミング』などがある。

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イノベーション・ファシリテーター 野村恭彦
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フューチャーセンターという名前を最初に使ったのは、スウェーデンのレイフ・エドビンソン教授です。

レイフは、知識経営(Knowledge Management)の世界でも有名な研究者です。特に1990年代に北欧の国々で活発だった、知的資本経営(Intellectual Capital Management)のリーダー的存在でした。
野村恭彦●イノベーション・ファシリテーター。国際大学グローバルコミュニケーションセンター(GLOCOM)主幹研究員。富士ゼロックス株式会社 KDIシニアマネジャー。K.I.T.虎ノ門大学院ビジネスアーキテクト専攻 客員教授。 (c)Eriko Kaniwa

なぜ、北欧の国々で「知的資本経営」が活発に行われていたのでしょうか? その理由はシンプルです。海外からの投資をもっと受けられるようにするためです。北欧企業は、「巨大国の企業と比べて、自分たちは大きな資本や資源は持っていない、しかし従業員の質や知識、将来に向けてのポテンシャルでは負けていない」、と考えていました。そのような知的ポテンシャルを株式市場に公式にアピールするために考え出されたのが、「知的資本の定量化」でした。北欧各国が横断で、知的資本の測定方法を研究し、多くの企業が同じスキームで知的資本の測定・発信を行うようになったのです。

知的資本経営では、「現在の収益は過去の知的資本が生み出したもの」と考えます。当然、長期的な成長を行うためには、「未来の知的資本を生み出す活動」が必要になります。短期的利益だけでは見えてこない、未来のポテンシャルを株主に対してアピールしようというのが知的資本経営ですから、長期的視点の活動を重視した経営が求められます。

レイフは当時スカンディア保険社で、知的資本経営の実践をリードしていました。知的資本の可視化を行い、社内では知的資本を高めるマネジメント手法を取り入れてはいましたが、彼は満足していませんでした。「どうしたら、経営層の意識をもっと未来の知的資本に向けられるだろうか?」と考えていました。

そこでレイフが考え出したのが、「未来の知的資本を生み出す場」、つまり「フューチャーセンター」でした。

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