唯一、気がかりなのは消費税だ。政府は2010年代半ばまでに10%に引き上げる方針を示している。

住宅取得の場合、消費税は引き渡し時に発生する。現在、販売中の物件には、竣工が1年後、2年後というケースも珍しくない。仮に、消費税引き上げ後に物件の引き渡しを受けた場合、経過措置などがなければ、増税分は基本的に購入者負担となることを覚えておく必要がある。

ただし、97年に消費税が3%から5%に上がったときは、首都圏平均は駆け込み需要で新築価格が3.3%上がり、導入後5.7%値下がりした。むやみに買い急ぐのは避けたい。

震災後、購入側にとって地盤の強さや耐震性といった「安全性」と、非常用電源や備蓄倉庫の有無などの「災害対応力」が重視されるようになった。震災直後は安全だけで購入するパニック買いも起きた。

それを逆手に取り、「安全・安心」を強調したセールスが行われている。確かに大切なポイントではあるが、安全性だけで決断するのは早計である。マイホームを購入するからには、居住快適性や交通利便性などの要素をすべて検討し、物件の「総合力」を見極める必要がある。

地質や地歴に関しては、ネットや図書館などで地質柱状図や古地図を見れば調べられる。川や沼を埋め立てた土地なら、内陸部でも液状化の可能性がある。地盤の硬さは、基礎杭を打ち込む支持層までの深度でもわかる。内陸部なら深度は浅く、ベタ基礎もあるが、湾岸エリアでは30メートル以上打ち込むことも。

施工業者にも注目してほしい。技術や工法には自ずと違いがあるからだ。設計・建築技術が高く、資材調達能力も高い大手であれば信頼度は高い。中小は施工実績が判断のポイントだ。施工数に加え、タワーや大きな物件の実績は一定の技術力があるという認識となる。

環境的にこの1~2年が買いどきであることは間違いないが、先ゆき不透明な中、市況だけでなく景況感や金利動向、税金の制度変更なども注視する必要がある。タイミングを見計らう冷静さが求められる。

(構成=上島寿子)