コロナ禍で売り上げの急減に見舞われた対人サービス業は、今後、以前の状態に戻れるのだろうか。野村総合研究所の梅屋真一郎さんは「中小企業は金融機関への借入金返済が重い負担となり、多くが『ゾンビ企業』となる恐れがある」という——。

※本稿は、梅屋真一郎『コロナ制圧 その先の盛衰』(日経BP)の一部を再編集したものです。

督促状を受け取った人
写真=iStock.com/Yusuke Ide
※写真はイメージです

コロナが対人サービス業に残した爪痕

残念ながら、特に宿泊・飲食・生活関連サービスなどの対人サービス業の企業に大きな爪痕を残した新型コロナの影響は、長期化する可能性がある。そして、企業によっては存続そのものが難しくなるケースも出てくる恐れがある。

筆者が主宰し、2020年3月初めに立ち上がった野村総合研究所の自主研究プロジェクトチーム「NRIコロナ対策プロジェクト」では、対人接触が前提の業務が中心で新型コロナの経営への影響が大きい以下の4業種を「コロナ対人4業種」と呼び、その影響度合いを分析した。

・宿泊業
・飲食サービス業
・生活関連サービス業
・娯楽業

これらの業種は、いずれも企業の稼ぐ力や財務体質が脆弱ぜいじゃくな中小企業が多く、労働集約型であるとともに、新型コロナの影響による対人接触の削減が売り上げに直接的に悪影響を及ぼす業種である(図表1)。

コロナ対人4業種と小売業の売り上げ状況(対前年同月比)
出所=総務省統計局「サービス産業動向調査」、経済産業省「商業動態統計」より野村総合研究所作成

新型コロナの影響による対人接触の削減で売り上げ低迷が続く中、政府による資金繰り対策がコロナ対人4業種を支えた。図表2は東京商工リサーチが行った企業アンケートの結果である。

この図表からもわかるように、コロナ対人4業種は政府の資金繰り支援策によって支えられ続けた。しかし、このことはこれらの業種の企業にとって非常に重い負担を与える結果になっている。