結果、3年後は社員数30名、5年後には50名で売り上げ10億円を目指すなど具体的な数字で「会社を大きくする」将来ビジョンができ、5年後には「自社オリジナルパッケージ商品の開発を実現させる」などの目標が明確になった。合わせて、学生の成長イメージとして、入社1年後には「プログラミングやシステム開発の専門知識を吸収」、5年後には「スペシャリストとして得意分野を持つようになる」など入社のメリットを確認した。

そしていよいよ(3)「プロモーション」である。このステップでは、できるだけ多くの学生に会社を知ってもらい、接触を図り、売り込む必要がある。

黒水さんはまず、大手就職サイトを利用した。

「学生に向けてリンク・アップを露出する窓口となるものが必要でした。就職サイトからエントリーができることをパンフレットなどの配布物に記載し、そこを入り口として学生を呼び込む流れをつくろうと考えたのです」

大手就職サイトを利用することによって、中小企業でもマスへのアプローチが可能になるのだ。

「ただサイトに事業内容を並べるだけでは学生の心に響きません。写真を撮り社員の笑顔を掲載したり社長の魅力を伝えたりしました。言葉もわかりやすくし、Q&A方式で伝えるなどの工夫をしました。時期によって動いている学生が違うことも意識して、反応を見てはテキストを随時変更し、できるだけ目につくように努めました」

9月にはこのサイトが運営する合同会社説明会に参加。黒水さんはブースに入って学生への会社説明を担当する社員に、10分で自社をアピールできるよう打ち合わせをした。

「合同会社説明会に来る学生は、まだ業界や職種を絞り込めずにいる子が多い。そういう学生に『10分だけでいいから業界研究を含めて聞いていきませんか』と声をかけました。ここでいかにリンク・アップに興味を持ってもらうかが重要なのです」

学生の争奪戦と化した会場で、20名程度の学生を呼び込むことに成功し、そのうち18名をエントリーに結びつけた。まさに呼び込みと自社PRという営業の賜物である。

そのほか、プロモーション活動として黒水さんはビジャスト新卒会員登録者へメールDMを流し、反応のあった学生に対してマメに連絡を取り、詳しく説明するなどの営業活動をした。

入社の決め手「面接で笑ったのはこの会社だけだった」

これらの活動によって、就職サイトから45名、合同会社説明会から18名、ビジャストの新卒会員から16名のエントリーを獲得した。

企業がエントリーした学生に接触できる確率は10~15%といわれている中で、同社は29名、つまり36%もの学生を会社説明会に呼び込んだ。