一人で作業しているときに誰かがやってきたら、急に仕事のペースが速くなったり、あるいは仕事がしにくくなったりすることがないだろうか。これは、他者が自分に対して持つイメージを自分でコントロールしようとする「自己呈示行動」が無意識に起きているから。これを印象管理という。

有権者は、期待通りに演じてくれる小泉純一郎首相(当時)の話に耳を傾けた(2005年・兵庫県)。(PANA=写真)
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有権者は、期待通りに演じてくれる小泉純一郎首相(当時)の話に耳を傾けた(2005年・兵庫県)。(PANA=写真)

印象管理の概念は、米国の社会学者・ゴフマンが1950年代に提唱した「人の行動は時間・場所およびオーディエンスに依存する」という考え方に由来する。人にはその瞬間に役割が自然に決まっているという考え方で、その要因には基本的な3要素がある。観客、コントロールしようとする人や物、そして印象をつくる本人である。たとえばあくびをしたとき、生理的な現象ではなく、他人に影響を与えるためにした場合は印象管理による行動だといえる。

印象管理が顕著に行われているのは政治の世界。小泉純一郎元首相の政治手法は「小泉劇場」といわれていたが、「彼は舞台をセッティングしただけ。雰囲気をつくり、期待される役割を演じた」と聖心女子大学歴史社会学科教授の菅原健介氏は語る。大切なのは舞台の特徴をつかむことなのである。

ビジネスシーンでも印象管理は日常的に行われている。スキャンダルが起こったときに記者会見をしてイメージを印象づける行為はまさに印象管理である。ポイントは「意識しすぎないこと」(菅原氏)。意図的に印象を操作することにあざとさが見えると、イメージを損なうダメージのほうが大きい。ありのままの自分をいかに見せるか、そこに最大限の注意を払う必要がある。