生理的に嫌われたらもう終わりかもしれません。匂いを嗅ぐのもイヤ、声を聞くのもイヤ、夫の下着を洗濯するのも苦痛になる。夫の食べ残したものを食べられなくなったり、同じタオルやコップを使えなくなって、一緒にテレビを見ていて偶然に手や肩が触れでもしたら、反射的に身を引いてしまう。この「生理的にダメ」っていう感覚は、妻のことを性的対象として意識できないという男性の感情より根が深くて強いもの。一度、芽生えたら元には戻りません。

現実問題として、専業主婦は経済的基盤がネックになって、なかなか離婚に踏み切れないでいるケースが多いですね。そんな彼女たちの素直な気持ちは、「ぽっくり死んでくれたらいいのに」(笑)。冗談ではなくて本当の話。私の友人も実際に言っていました。彼女曰く、食事で自分と子供が食べるものとダンナの分を区別するのは当たり前で、ダンナ用にわざわざ安い卵や安い肉を用意して、油や塩分をより多く使って調理する。コレステロールの高いものを食べさせて、あとは生命保険にたくさん加入したり、保険金を上げたり。オンナは怖いですよ。毎日の食事にも気をつけましょうね。

では、どうしたら嫌われないでいられるのか。それは月並みですが、気を使って相手が喜ぶようなことを照れずにすること。いつもする必要はないんです。でもたまには、バラの花束でもワインでもやさしいひと言でもいいから、相手に与えて喜ばせる。これがまったくないと、油が切れた機械みたいにギクシャクします。

再婚なんてよっぽどのことがないとしないと言っていた私も縁あって再婚しました。それは彼(映画プロデューサー、叶井俊太郎氏)のことをうっとうしくなることがなさそうだから。これだけ思っているんだから、私を満足させるには少々の油では足りませんよ(笑)。

(小檜山 想=構成 滝口浩史=撮影)