――そうはいっても、ヨーロッパはユーロのおかげで、グローバル化の波に乗れたのではないですか。

それはまったく逆の解釈です。トップは、ドイツ、2位はフランス、最下位はギリシャといったように、ユーロはユーロ圏に属する国を序列化しただけです。経済力や文化が異なるのに、ヨーロッパ共通の通貨政策など、機能するわけがありません。

ユーロを創設したエリート層は、自分たちが犯した失敗をなかなか認めようとせずに、意固地になっているだけです。これはまさにフランスが植民地撤退の決断が遅れたのと同じ構図です。ドゴール大統領はアルジェリアの独立を認めず、4年もの歳月を無駄にしました。繰り返します。ユーロに対する判決は、すでに下されました。

――ユーロが廃止されるとすれば、ヨーロッパ経済は混乱しますね。

おそらく一時的な混乱は避けられないでしょうが、チャンスもあります。例えば、ユーロ消滅のどさくさに紛れて、我々の記憶から各国の政府債務を消し去る、あるいは帳消しにするといった荒業も可能かもしれません(笑)。また当然ながら、ユーロ創設に関与した現在のヨーロッパ指導者層には、責任をとってもらい、お引き取り願う。そうすれば若年層にチャンスも広がり、ヨーロッパにとって平和的革命になります。でも、ユーロがなくなれば、さらなる円高になるかもしれませんね。

文化的な基盤という枠組みでしか、社会システムはうまく機能しません。フランス、ドイツ、ギリシャという枠組みでは機能しても、ヨーロッパでは無理ですね。