いやなでき事に対する認知を変える

図3はどう見えているだろうか?スカーフをかぶった美女の横顔?では美女の顎を鼻、耳を目と思って見直すとどうなるだろうか。美女は一瞬にして獅子鼻の老女に化けてしまったであろう。逆に、老女の大きな鼻を顎、目を耳と思って見直すと、一瞬にして老女は美女に変身したであろう。このように、同じものでも、一部の見方が変わると、全体の見え方が一変してしまうことがある。

Three good thingsの参加者は、それまで漫然と過ごしていた1日の中に、何かよいことを3つ探し出し、それを軸に1日を見直している。またハッピーノートの参加者は、いやで仕方がなかった介護の中に嬉しかったことを探し出し、それを軸に介護を見直している。このようにこれまで思ってもいなかった「よいこと」や「嬉しかったこと」をあらたに見出し、それによって見直した世界が、それまでとはまったく違ったものに見えても不思議ではない。それは美女の絵を、顎を鼻として見直すと、美女が老女に変わったのと同じである。

プログラムの参加者は、よいと思ったことや嬉しかったことを書きとめている。ただ思ったり感じただけでは、すぐ消えてしまうが、書きとめると客観化されて心にしっかり残り、また振り返ってみて、自分の変化や進歩に気づくことができる。

Three good thingsとハッピーノートの手法は簡単だが、それらは、うつや不安などの不快感情の生起のメカニズムについての最近の考え方の重要な変化から生まれている。