脳は現実と想像の区別がつかない

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脳にはもう一つ、おもしろい特性があります。脳はだまされやすいのです。なぜなら、脳には現実と想像の区別がつかないからです。本当はそう思っていなくても「今日はとても楽しい」と口にすれば、脳はこの言葉の意味を読み取り、自律神経系がそれを現実化しようとします。想像上のことであっても、身体は現実のことと同じように反応します。こういった生理的な仕組みを理解して口ぐせをうまく利用することで、性格を変えることができるのです。

人間関係づくりが苦手な人は、自己イメージが低く、自分のことを好きでない人が多いものです。自分自身を100%受け入れられる人は、人間関係づくりもスムーズです。ですから、自分を受け入れる言葉を口ぐせにしてみましょう。

本当にそう思っていなくてもいいので、「実は人間が好きなんです」「なんて幸せ者なんだ」と口にしましょう。何度も言っていると本当にそんな気がしてきます。そして、自分を取り巻く環境を見る目が変わり、人を見る目も変わります。

「ありがとう」を意識的に言うことも大切です。心から感謝の気持ちを持っていなくてもいいのです。言いたくない相手にも言いましょう。心は後からついてきます。それほど言葉の持つ力は強いもの。自律神経系は人称を解さないので、相手への感謝の言葉も、発声している自分への感謝の気持ちと解して自信がつきます。

相手を意識的に褒めることも効果的です。人を褒める言葉でも、脳や自律神経系は自分を褒める言葉と解するのです。

(構成=大井明子)