自民党総裁選は9月17日、告示された。世論調査では河野太郎・行革担当相が優位に立ち、第100代首相への就任が有力というような報道が目立つ。しかし、一方では安倍晋三・前首相、麻生太郎・副総理兼財務相、甘利明・党税調会長の「3A」が「河野首相誕生」の阻止にうごめいている。そして、「河野首相は許さない」という4人目の「A」の存在が事態を動かしつつある――。

なぜ野田聖子氏が「20人」を集められたのか

4人目の総裁選出馬表明は、告示前日の16日夕だった。

「推薦人を整えていただき、出馬することになった」

野田聖子・党幹事長代行が総裁選に名乗りを上げた。河野氏、岸田文雄・前政調会長、高市早苗・前総務相に続く出馬表明だ。

自民党総裁選候補者共同記者会見を前に、撮影に応じる(左から)河野太郎規制改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行
写真=EPA/時事通信フォト
自民党総裁選候補者共同記者会見を前に、撮影に応じる(左から)河野太郎規制改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行=2021年9月17日、東京・永田町

野田氏は10年以上前から「女性初の首相候補」と呼ばれ、総裁選があるたびに出馬の意欲を見せてきた。しかし、その都度、立候補に必要な20人の推薦人を集められず涙をのんだ。「18人集まった。あと2人だった」などと説明されたが、実際は10人にも満たなかったともいわれている。今回も「出馬に意欲」と報じられ続けていたが、「やはり無理だろう」というのが大方の見立てだった。ところが、締め切り間際の出馬表明である。

この結果、「小石河連合」の戦略は大きく狂った

総裁選は国会議員票383票、党員票383票の計766票で争われ、過半数獲得者がいない場合には上位2人による決選投票となる。

野田氏の場合、国会議員票は20票から大幅な上積みは期待できない。党員票も、報道各社が行う自民党支持層対象の調査をみると苦戦は必至。野田氏には失礼な話だが、「4位に沈む」という可能性が高い。そのことは本人もよく知っている。当選の可能性の低い候補が1人加わっただけなのだが、野田氏の出馬は、永田町ではかなりの衝撃を持って迎えられている。

「痛いなんていうものではない。戦略が大きく狂った」

河野陣営からは、こんなぼやきが漏れてくる。今回の総裁選では1回目の投票で河野氏が1位となることは、ほぼ確実だ。河野氏は党員票で大量得票が期待できる。議員票でも知名度の高い石破茂・元幹事長、小泉進次郎・環境相らの支援を受けて「小石河連合」を構築した。2位は議員票で河野氏と競る岸田氏、高市氏は3位になりそうだ。

今、注目は、各候補の順位ではなく「河野氏が1回目で過半数を取れるかどうか」。過半数を取って一気に「河野総裁」を決めるか、岸田氏との決選投票となるか、ということだ。