われわれはいま、アメリカとアジアを中心に世界28カ国で操業している。出遅れていたヨーロッパに足がかりをつくったところだが、今後は南アメリカやアフリカへ進出し、最終的に75カ国まで広げる計画である。

すると、そこへ出ていく社員は英語や中国語だけではなく、イタリア語やドイツ語、フランス語、ハンガリー語、ポーランド語、スペイン語、ポルトガル語といったマイナー言語にも通じている必要が出てくるのだ。それはなぜか。

もちろんどの国でもホワイトカラー層は英語ができる。しかしワーカー層はそうはいかない。現場従業員の気持ちをつかまなければ、メーカーは絶対に強くなれない。だから、現地語の習得が不可欠になるのである。

望ましいのは日本人社員が現地語をマスターすることだ。それが無理なら、相手国から日本への留学生を採用してオペレーションにあたらせる。このことは絶対におろそかにできないと思っている。

サムスンやLGの考えも同じである。韓国人社員は必死になって現地語を勉強し、現地に根付こうと努力している。資源を持たず少子高齢化が進んでいるのは日本も韓国も同じである。その中では、こうやって外需を開拓するしか企業の生きる道はないのである。

先ほども触れたが、ハンガリーを訪問したときのことをお話ししたい。