従業員一人あたり利益が2332万円にのぼる北の達人コーポレーション。営業利益上位の大手5社を凌ぐ数字だ。高い利益を出すことにこだわる社長の木下勝寿さんが新入社員に必ず伝える“お金の話”とは――。

※本稿は木下勝寿『売上最小化、利益最大化の法則──利益率29%経営の秘密』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

棒グラフ
写真=iStock/lucky336
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利益を上げた会社は何をすべきか

目標とする利益を十分に上げた会社は次に何をすべきか。

もっと世の中の人に喜んでもらうにはどうしたらいいか。

ある社員はこう言った。

「社長、必要な利益を十分上げたのだから、これからは無料にしましょう」

すると注文が殺到する。商品を渡せる人、渡せない人が出てしまう。以前、有料で買ってくれたお客様は「不公平だ」と思うだろう。お客様に対して失礼なことになる。

社員は考えを改めた。

「やっぱり有料で販売して利益を上げ、利益目標を超えた金額を寄付しましょう。これこそが社会貢献ですよ」

だが、いざ寄付しようとしたら、様々な団体があることに気づいた。貧困や食料不足に苦しむ人たち、学校にいけない子どもたち、地震や豪雨で被災した人たち……世の中には困っている人がたくさんいる。

たまたまニュースなどで知った人や団体に寄付をすることになるが、それでいいのか。

世の中にはもっと困っている人がいるのではないか。本当はすべての困っている人を把握し、優先順位をつけて援助できればいいが、自分の力では難しい。

では、どうしたらいいか。

会社の利益そのものが“社会貢献”である

そのために行政と税金という仕組みがある。不案内の分野に寄付するのではなく、本業に専念して利益を生み、納税したほうが役に立つ。日本の社会は、必要以上に利益が出た分は、税金という形で社会に還元される仕組みになっている。行政は日本中から集めた情報をもとに、どこにどれだけのお金を分配すべきかを決める。稼いだ利益は行政を通じ、日本全体がバランスよく、みんなが幸せになるよう適切なところに分配される。「累進課税」では、利益を上げれば上げるほど税率が高くなる。

【図表1】累進課税の仕組み
出典=『売上最小化、利益最大化の法則──利益率29%経営の秘密』より

生活に必要な最低限度の金額はどんな人でもあまり変わらない。だから稼げば稼ぐほど税率が高くなるのは理解できる制度だ。多く稼いだらそれに応じて納税し、社会に還元する。だから世の中に役立つには、より多くの利益を上げることだ。