2020年までに太陽光の発電コストを3分の1に、30年までに6分の1に下げる──。11年5月に菅直人首相が発表した「サンライズ計画」で太陽光発電関連の企業に注目が集まる中、今後の伸びが期待できるのはどこか。

最も注目する企業のひとつが、太陽電池の製造装置で高いシェアを持つフェローテックである。11年3月期の太陽電池製造装置の売り上げは、前期比46%増。今期も54%増を見込む。

東京製鋼も好調だ。同社は太陽電池シリコンの切断に不可欠な鋼線(ソーワイヤー)でシェアを拡大している。11年度の海外売上比率は前期比約2倍の30%。そのほとんどを中国企業向けが占める。中国とマレーシアにある工場の設備を拡充し、需要拡大に対応する。

両社はこれまで、半導体の製造において技術を蓄積してきた。その技術を太陽電池分野へ応用している。両社ともアジアに生産拠点を置いており、高いコスト力を持つのも強みだ。

太陽電池の輸入・販売を手がけるウエストHDも業績を拡大している。今年3月に韓国大手のハンファグループと、4月に太陽電池世界シェア4位の中国インリー社と提携し、両社の製品を日本国内で独占的に販売する。

では、肝心の太陽電池メーカーはどうだろう。日本のトップシェアはシャープで、京セラ、三洋電機、三菱電機と続く。06年まで世界シェア1位だったシャープは、今年中にはトップ10圏外となるといわれている。そのほか各社についても苦戦が続く。

その理由は、中国メーカーの躍進である。現在、中国と日本の間に技術的な差はほぼない。液晶テレビ業界と同様に価格競争の構図ができつつあり、日本メーカーがふたたび世界シェアを席巻する可能性は極めて低いといえよう。サンライズ計画によって多少の恩恵が見こまれるものの、このままではコスト競争力で優位に立つ中国メーカーの後塵を拝すことになる。

中国と戦うためには、集中投資が必要条件だ。苦戦する日本勢において、豊富な資金力で設備投資を拡大する昭和シェルに唯一、期待が持てる。

5月には韓国サムスンが太陽電池の開発を中止し、事業を見直すと発表している。日本メーカーも、そろそろ撤退を検討する時期かもしれない。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=プレジデント編集部)