「柔らかなトップチーム経営」こそ日本企業が目指す姿

日本企業の「グローバル経営」が叫ばれて久しい。その一方、日本企業の本社「トップチーム」はどれほど国際化しているだろうか。ソニーや日産のような例はまだ例外であり、この命題が日本トップ企業の真の課題になるにはまだ時間がかかりそうだ。しかし日本企業が欧州にて成功するには、「機能する多国籍からなるトップチーム」は「まだ」でなく「急務」の課題である。

もちろんグローバルレベルに近い日本企業も存在する。

ある大手タイヤメーカーは欧州にてバランスよく事業展開をしており、またポーランド・ハンガリーへの投資も怠らない。海外複数地の赴任経験のある日本人トップチームメンバーが欧州スタッフとの融合を進めている。

自動車機器や住環境機器システムのサンデンは欧州での生産が全体の60%と、日本より欧州にて知名度が高いぐらいであり、経験ある日本人トップチームメンバーが機能している。同社では今後「多国籍トップチーム」が機能してゆけるかがこれからのグローバル化がうまくいくかどうかに大きく影響するのであろう。

日本はあらゆる海外文化を「柔らかく」包んできた歴史がある。欧州では隣国同士での戦争の歴史もあり、EUはひとつと謳えども微妙な問題も多々存在する。米国と日本は2国間、つまり「バイラテラル」な関係であるが、欧州と日本は実は「マルチラテラル」である。そこに「トップチーム」が多国籍であるべき根拠があるように思える。

日本そのものが国際化が進むなか、在欧日本企業の「柔らかなトップチーム経営」が、欧州のみならず日本企業の真の国際化の鍵となる可能性を秘めている。

(ライヴ・アート=図版作成)