さらに、こうした状況に追い打ちをかけてくるのが、年金問題、介護問題、そして“お一人様”問題だ。このトリプル不安が、教育費と住宅ローンという動かし難い負担を抱えた家計を直撃することになるのである。

図表5

図表5にある通り、年金に対する危機感は若年層のほうが高い。裏返して言えば、年齢が高い層はまだ年金が貰えるのではないかと淡い期待を抱いているということになる。しかし、その認識は相当に甘いと言わねばならない。

リーマンショックの陰に隠れて、最近は年金問題が云々されることが少ないが、年金財政が危機的な状況にあることは一向に変わっていない。景気が一息つけば、再燃することは間違いない。公明党が主唱した「年金100年安心プラン」が安心ではないことはすでに自明のことだが、民主党が対案として用意している税方式が採用されると、特に高所得者が受給できる年金額は減少するだろう。

税方式とは、簡単に言えば、現在の保険料方式をやめ、徴税して再配分する方式に切り替えるということだが、眼目は高所得者からより多く徴収して、保険料を支払えない低所得層も年金を受給できるようにすることにある。つまり、年金を一種のセフティーネット化しようという発想であり、そもそも年金で豊かな老後を送れるようにしようという発想から出てきた改革案ではないのだ。

高所得者は、多く取られて少なく貰うことになり、低所得者は少なく払って少なく貰うことになる。最低生活は保障されるかもしれないが、現役時代と同じレベルの生活を送れるのは、十分な貯蓄を持ったごく一部の人だけである。現在の保険料方式を継続するにせよ税方式に切り替えるにせよ、年金財政が厳しいのは間違いない。

また、介護の問題も深刻だ。コムスンの不祥事で明らかになったように、現在の介護保険制度はうまく機能していない。理由は単純で、介護事業者の多くが儲かっていないのである。

介護事業はヘルパーやケアマネジャーなど、多くの人手を要する。つまり、人件費が嵩む事業なのだ。しかし、介護保険料は健康保険料に比べれば微々たるもの。多くの介護事業者が厳しい運営を強いられる中で、現状の介護保険制度がこのままで存続するとは考えにくい。

早晩、介護保険料の引き上げが行われるか、制度の根本的な見直しが図られることになるだろう。介護をする立場にせよ、される立場にせよ、介護問題が今後、家計を圧迫してくることは間違いないだろう。

そして、お一人様問題である。