退職後2年は任意継続がベター。
早めの手続きを忘れずに

会社勤めのときには、事業所単位で加入する健康保険に入っているが、定年退職後はどうなるのだろうか?

退職時に加入する健康保険の比較

退職時に加入する健康保険の比較

図のように退職後の健康保険の加入の仕方は3つある。まず検討したい有力候補は、会社員時代に入っていた健康保険の任意継続。現役時代には健康保険料の2分の1を会社が負担してくれていたが、退職後は全額自己負担になるので、保険料はこれまでの2倍になる計算だ。しかし、保険料は上限で月額2万6124円(政府管掌の場合。介護保険料込み。年度によって変わる)。妻も扶養のままなので、国民健康保険の保険料よりは安くなる人が多い。任意継続にすると、加入先によっては付加給付があるなど、国民健康保険より給付が充実しているケースもある。

手続きは退職後20日以内なので忘れないように。ただし、任意継続できるのは退職から2年までだ。

次に国民健康保険に加入する方法。国民健康保険には扶養制度がないため、夫と妻と2人分の国民健康保険に加入する。国民健康保険の保険料は、収入による所得割と、加入者の人数分一定額がかかる均等割などを足して算出する(詳細は市区町村ごとに決められている)。前年の収入に基づいて計算されるため、退職前の収入で計算された保険料を収入がダウンした退職後1年目に支払うのは厳しい。退職後すぐは任意継続にして、その後国民健康保険に加入したほうが急激な負担増を避けられる。

ここで注意したいのは、退職後1年間は任意継続の保険料のほうが安くても、退職後のダウンした収入で計算される2年目以降の健康保険料は、国民健康保険のほうが低額になる場合もあるということ。また、同じ世帯の子どもや妻が自営業などで、すでに国民健康保険に加入しているのなら、世帯当たりの上限額があるので、一緒に国民健康保険に加入したほうが、保険料が割安になる場合もある。医療費の自己負担の割合は、任意継続でも国民健康保険でも3割と同じなので、保険料の安いほうを選ぶとよい。国民健康保険の保険料は、市区町村役場の窓口で試算してもらえる。

保険料の請求は、家族の分を含めて世帯主に届く。国民健康保険の保険料(介護保険料含む)の上限は、1世帯あたり月額約6万円程度(これも市区町村によって違う)。加入の手続きは、自分で市区町村役場の窓口へ行って行う。

同じ国民健康保険でも、厚生年金から年金を受給できる、厚生年金の加入期間が20年以上あるなどの条件を満たす人は、健康保険組合によっては退職被保険者になれる場合もある。保険料は国民健康保険と同じだが、退職被保険者は原則、妻を扶養者とできる。ただし、この退職者医療制度は2014年度までで終了する予定だ。

自分の子どもや妻が会社員なら、その扶養になることも検討してみよう。被扶養者の条件は、生計維持関係にあり、年収が180万円未満(60歳以上の場合)などと厳しいが、該当すれば健康保険料がかからない。これが可能なら、保険料は一番おトク。

死ぬまで払い続ける健康保険料は知恵を絞って最善の方法を選びたい。