地方活性化のために行われている「ふるさと納税」。だが投資家の小飼弾氏は「人口が減少している地方に財源を分配しても地方振興は進まない。ばら撒かれた財源で不必要なインフラを整備し、自治体の財政を圧迫することも。地方に必要なのは税源ではなく、撤退戦の戦略である」という――。

※本稿は、小飼弾『小飼弾の超訳「お金」理論』(光文社)の一部を再編集したものです。

ふるさと納税
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ふるさと納税の問題点は高額返礼品ではない

住民税に関しても、大きな問題があります。日本におけるバブル崩壊後の施策で、ワーストワンはここまで説明してきた消費税の導入ですが、その次にひどいのが「ふるさと納税」です。

ふるさと納税を実際にやってみたことがある人は、「すごくお得な制度だなあ」と感じたことでしょう。普通なら、問答無用で自分の住んでいる自治体に住民税を取られるのに、納税先を自分で選べて素敵な返礼品までもらえてしまう。

ふるさと納税は納税と言いつつ、個人住民税の寄付金制度が元になっています。寄付金が所得税・住民税の控除の対象になるのですが、寄付金に応じた「返礼品」を送る自治体が増えてきて、自治体間の高額返礼品合戦になってきました。

特産品とはまったく関係のない、電子機器やギフト券を返礼する自治体も出てきて、何でもありの状態になっています。お得だと感じつつ、「ギフト券を送るのはさすがに反則だよ」と思う人もいるでしょう。でも、ふるさと納税の問題点は、そういうことではないのです。そもそも論で考えてみましょう。

憲法にも書かれているように、なぜ私たちは納税しなければならないのか?