適合しない製品と知りながら自動車メーカーに出荷

三菱電機の「車載ラジオ」の品質不正問題が、国内の自動車メーカー幹部を激怒させている。

今回、不正の対象となったのは、車載オーディオ機器用ラジオ受信機、いわゆる「車載ラジオ」だ。自動車メーカーが欧州市場で販売する車に搭載する製品で、EUの基準に適合しない製品を、それと知りながら顧客である自動車メーカーに出荷し続けていた。不適合品の出荷台数は30万台を超える。

三菱電機がこの問題を公表したのは2020年11月。12月に社内調査の結果を発表し、EUの基準を満たさないオーディオを2017年6月から3年4カ月にわたり自動車メーカーに出荷していた。

次期社長に就任することが決まり、記者会見する三菱電機の杉山武史副社長
写真=時事通信フォト
次期社長に就任することが決まり、記者会見する三菱電機の杉山武史副社長=2018年2月21日、東京都千代田区の同本社

同社はこの製品について、欧州でのAMラジオ受信時に音声にノイズが混入する可能性はあるが安全性には影響はないとしている。2月の決算説明会でも三菱電機の皮籠石斉常務執行役は、「心配をかけて申し訳ない」としつつも「現時点では業績に影響が出るような状況ではない」と語った。

不適合品と知りながら問題製品の生産・出荷を継続

しかし、法令に基づくリコールや罰金の対象になる可能性がある。自動車メーカーが自主的にリコールし、賠償金を求められるケースも想定される。もし、不適合品がすべてリコールされた場合、単純計算で賠償額は100億円を超えるとの見方もある。

日本の自動車各社が、同社を特に悪質だと指摘するのが、発覚を恐れて偽装・隠蔽工作をしていたからだ。顧客である自動車メーカーにたいしてEUの規格に合う「偽の適合宣言書」を提出したうえ、「改造品」を使って適合性評価試験を受審。さらに、不適合品と知りながら問題製品の生産・出荷を継続した一連の行為はきわめて悪質だ。