従来の経験則では対応できない

環境対応車の減税は販売増の救世主となるか?
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環境対応車の減税は販売増の救世主となるか?

「絶壁の上から垂直に転げ落ちるような感覚」(渡辺捷昭・トヨタ自動車社長)というほど、欧米の金融危機に端を発した世界同時不況で、世界の自動車産業はかつてない危機に直面。大幅な減産、雇用調整、不採算事業の撤退ともがき苦しみ続けている。昨秋以降、ホンダは4度、トヨタは3度も業績の下方修正に追い込まれた。2009年3月期の連結決算ではホンダやスズキは黒字を確保するが、トヨタ自動車、日産自動車、マツダ、三菱自動車は最終赤字に転落する見通し。

決算発表の席で三菱自動車の益子修社長が「従来の経験則では対応できない」と言葉を詰まらせたほか、日産のカルロス・ゴーン社長も「これまでに経験がない全体需要の落ち込みに円高や金融危機が重なる三重苦で、最悪のシナリオが現実になった」と厳しい表情を浮かべた。

例えば、日産は09年3月期の連結決算が1800億円の営業赤字に転落する見通しで、派遣・期間工の打ち切り、一時帰休に続いて、新たに約2万人の従業員削減に乗り出した。業績悪化に伴う労務費削減のため役員の報酬を10%、管理職も5%カット。賞与は役員が50%、管理職は35%削減される。一般社員も痛みを強いられる。先の春闘で定期昇給分は維持されたものの、ベースアップにあたる賃金改善分はゼロ、一時金(賞与)は08年実績の6.1カ月(組合平均217万9000円)に対し、回答は4.2カ月(150万6000円)。賞与分だけでも約67万円の減収となる。

一時金はトヨタも5カ月プラス10万円の186万円と前年(253万円)に比べて約67万円の減額となるほか、スズキ(4.75カ月)、マツダ(4.06カ月)、三菱自動車(2.4カ月)が過去最低となるなど各社の懐事情は厳しく、年収格差も広がっている。

08年度の国内新車販売台数は32年ぶりの低水準。ハイブリッド車などの商品化で出遅れた日産やマツダは生き残りへの不安が高まっている。環境対応車で先行するトヨタ、ホンダを軸に再編・淘汰が進む可能性もある。

※年収はいずれもユーレット(http://www.ullet.com/)のデータをもとに作成。純利益予想は3月25日時点の決算短信、業績予想の修正より。