高い位の戒名をもらえば、法事のときにお包みするお布施にも影響し、高くなるのが、この世界の常識。院号クラスの戒名をつけてもらったら、1周忌法要のお布施は10万円が相場です。一方、「○○信士/信女」というポピュラーな戒名をもらった場合は、関東なら5万~7万円、それ以外の地域なら3万~5万円が目安になります。

また、法事のお布施は、葬儀から時間が経つにつれて少額になっていく傾向があります。49日なら1周忌より高め、3回忌なら逆に1周忌より低めだと考えてもらって差し支えありません。

お墓参りのときは、現金でなくても大丈夫。私がお寺でアルバイトしていたときは、御供物としてお菓子や果物を持ってくるか、手ぶらの人がほとんど。現金の場合も、1000~5000円の気持ち程度で十分です。

以上の相場は、あくまでも一般論です。地域や宗派のリアルな相場を知りたければ、地元の葬儀社や自治体の相談窓口、檀家総代(信者の代表。世話人と呼ぶお寺もある)などに聞いてみると、教えてくれることもあります。

なお葬儀のお布施は、相続税の課税控除対象になります。そこで重要になるのが、お布施の額を証明する領収書。相続税がかからない場合でも遺産分割協議のときに記録として使えるので、できるだけ領収書は発行してもらうべきです。最近は住職もそのあたりは心得ているので、お願いすれば問題なく発行してくれます。ただし、お車代やお膳料については領収書を出さないお寺もあります。心配なら、事前に確認してみてください。

ちなみにお布施を渡したその場で金額を確認してもらって領収書を受け取るのは、マナー違反。葬儀のときは、お通夜でお布施を渡して、告別式で領収書を受け取るのが一般的です。法要で1日しかない場合も、後日郵送してもらったほうがスマートでしょう。

(構成=村上 敬)