フィンランド発祥のフードデリバリー「ウォルト」が10月に東京に進出した。先行するウーバーイーツや出前館との違いはなにか。創業者でCEOのミキ・クーシ氏は「誰が最初に来たかではなく、誰が最後まで残るかが重要だ。そのためには配達員にとってフェアな状況を作ることが欠かせない」と話す。ジャーナリストの藤澤志穂子氏が取材した——。

「誰が最後まで残れるかが重要だ」

ミキ・クーシ氏が率いるウォルトは、2014年にヘルシンキで創業した。2016年からサービスを開始し、事業を北欧4か国に広げた後、チェコやギリシャ、カザフスタンなど中欧や南欧、中央アジアに進出し、2020年中に23カ国110都市以上に展開を拡大する予定だ。

ミキ・クーシ氏
オンラインでの単独インタビューに応じるウォルトのミキ・クーシCEO(撮影=プレジデントオンライン編集部)

ウーバー・イーツがエジプトやサウジアラビアなど、一部の不採算地域で撤退するなど事業の見直しに入っている中で、ウォルトはグローバルファンドなどから出資を受けるなどして資金を調達し、世界への進出スピードを加速させている。

日本には3月の広島を皮切りに札幌、仙台、福岡などに進出、東京では10月に渋谷区など中心部6区でサービスを開始した。日本での展開は2020年12月中に9都市に拡大。2年後に100都市に進出、全国展開を目指すという。

クーシ氏は「東京は、これまでウォルトが展開してきた世界中のどの都市よりも大きい大都会。フードデリバリーには競合他社が多いが、『誰が先に行ったか(Who is First)』ではなく『誰が最後まで残れるか(Who is Last)』が大事だ」と話す。

「経営、レストラン、配達環境などを整えれば、ユーザーは一番良いものを最後に取る。そうなれる自信は我々にはある。ただ忍耐(Patience)は必要で、最も重要な経営課題でもある。コロナ禍でニーズは加速している」