新型コロナと“ただの風邪”はどこが違うのか。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「軽症者でも免疫の暴走が起きて、心肺がダメージを受けるなどの後遺症を負う恐れがある。『重症化しなければただの風邪』というわけではない」という——。

※本稿は、小林弘幸著、玉谷卓也監修『免疫力が10割 腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

順天堂大学医学部の小林弘幸教授
写真撮影=川しまゆうこ

重症者はもちろん、軽症者にもある「後遺症」の恐れ

新型コロナウイルス感染症は、健康でさえあれば――つまり、免疫の働きがきちんと作用していれば――重症化を避けられます。

無用な心配をすることはストレスの観点からも避けるべきです。

しかし、奔放に出かけて人と触れ合い、感染リスクのある行動を取っていい、というわけではありません。あたりまえですが、感染しないのに越したことはないのです。

新型コロナウイルス感染症は「重症化しなければただの風邪」というわけではありません。軽症でも肺炎症状を含んでいますから、当然ながら症状は苦しいはずです。

そして、軽症であっても今後の人生に影響する後遺症を残してしまう可能性があるのです。

後遺症の程度は、感染時に重症であればあるほど重いものとなります。重症者の体内ではサイトカインストームの発生によって免疫細胞が暴走し、心肺に甚大な炎症を引き起こします。死の淵から生還し、ウイルスは排除できたとしても、炎症にともなう器官のダメージはそう簡単には回復しません。

実際に、重症まで至った患者の多くが、その後も長期にわたって入院を必要とし、退院後も息苦しさを感じています。

これは、新型コロナウイルス感染症の特異な症状といえます。インフルエンザでもウイルスの毒性によって肺炎を発症し、その影響が続くことはありますが、最終的には完治して後遺症にはあまり発展しません。