『「正義の経済学」ふたたび―日本再生の基軸』 寺島実郎著 日本経済新聞社

これから会社を経営するうえで何を大事にすればいいのか。社員の気持ちをどこに集中させればいいのか。社長就任直後に悩んだときに読んだのが本書だった。

私は戦後間もない生まれで、じゃが芋畑で汗を流し、教会に通う「理想の国・アメリカ」に憧れた。しかし、60年安保と70年安保の端境期に大学時代を過ごした頃から疑問を持ち始めた。アメリカの価値観は、汗水たらしてのモノづくりよりも、お金でお金を稼ぐことを良しとするものに変わってしまった。

著者はアメリカに対する日本の姿勢に大変批判的だ。本書を読み、決して浮利を追うまい、あくまでメーカーであり続けようという私の考えは間違っていないと安堵した。