成果があったアベノミクス継続を

日夜休日も返上して新型コロナウイルスと立ち向かっていた安倍晋三氏が、最長の首相任期を務めた後、健康上の理由で退任した。安倍前首相には一日も早いご全快をお祈りしたい。

新任の菅義偉首相は、秋田県出身、横浜市会議員から自力で地盤を築き上げてきた政治家である。自民党のどの派閥にも属していない点でもユニークな存在である。

イェール大学名誉教授 浜田宏一氏
イェール大学名誉教授 浜田宏一氏

安倍前首相が祖父の岸信介元首相の流れをくむ、いわば政界のプリンスといってよい存在なのに対し、菅新首相は社会を庶民の目から見ることのできる首相である。社会のどこを直せばより能率的な社会になり、どこを直せばより公平な社会になるかを判断する目があると想像できる。派閥の個別利害にとらわれずに済むことは、改革に対する政治的な抵抗をかわすのにも有利であろう。

しかも首相のアドバイザーには、従来の製造大企業や銀行からだけではなく、今や業界の多数を占めるサービス業を代表する者が含まれているといわれるのも、前向きの政策を生むのに有望である。