介護従事者は医療従事者と同じく、人との密接を避けられない仕事だ。感染予防をしていてもリスクは大きい。要介護者の自宅を訪問してリハビリをしている、ある男性理学療法士は「今年の3月からずっと極度の緊張状態が続いています。感染の恐怖に加え、厚労省は介護報酬改定により訪問リハビリの抑制をしようとしており、それによって失職の不安も同時に抱えないといけない」という――。
体温を測定する男性看護師
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要介護者に寄り添う仕事をする人は3月からずっと極度の緊張状態

新型コロナウイルスは第3波による感染拡大が発生。感染者だけでなく重症者も日を追うごとに増えており、医療体制の崩壊が危惧されている。医療関係者が抱える危機感やストレスは相当なものだろう。

これは介護従事者も同様だ。人との密接を避けられない仕事。感染すれば重症化しやすい高齢者と接しているため感染防止策の徹底に努めているが、再拡大の勢いの中では完全に防ぎきれるものではなく、クラスターが発生している高齢者施設もある。

首都圏のA市で訪問リハビリをしている理学療法士のSさんは、クラスターによる感染が身近に迫った経験を持つ。緊張の日々を聞いた。

「先日、A市内のデイサービス(要介護を受けた人が施設に通い、入浴・レクリエーション・食事などをする)でクラスターが発生しましてね。そこで陽性になったある高齢者の方が、うち(訪問看護ステーション)のリハビリの利用者さんだったんです。その方がPCR検査を受けて陽性が判明した前日、私の同僚の理学療法士Bが先方の自宅に出向き60分間のリハビリを行っていました。『こりゃBはアウトだな』と思いましたよ。いうまでもなくリハビリは患者さんに寄り添って行います。必要に応じて身体の各部に触れますし、顔を近づけて会話もする。もちろん私たちは感染予防のためマスクと手袋をつけていますし、患者さんにもマスクはしていただいています。でも、これだけ密接していれば感染する確率はかなり高いはずです」

「仕事そのものが感染リスクであり、四六時中ピリピリ」

この事実が判明した時は、看護ステーション内にも衝撃が走ったそうです。

「感染のリスクを下げるため職員同士、会話も必要最小限の業務連絡にとどめていましたが、私たちはステーション内でBと濃厚接触しているわけです。Bはもちろん、職員も全員がすぐにPCR検査を受け、結果が出るまで業務を停止しました」

検査結果は、陽性者のリハビリを行ったBさんは幸いにも陰性。当然、Sさんなど他の職員も陰性だったが、新型コロナウイルスが身近に迫っていることを痛感し、緊張感は増すばかりだそうだ。

「訪問リハビリを受けている利用者さんは高齢のうえ、何らかの基礎疾患があり免疫力が落ちている方ばかりですから、絶対に感染させてはいけないという思いがあります。にもかかわらず首都圏では感染者が激増。私たちが仕事をする市もそのエリアにありますから、いつどこで感染するか分からないという不安がある」

「今回のケースのように患者さんがデイサービスなどの通所介護で感染することもありますし、家庭内感染が増えているとも聞きます。訪問リハビリによって感染するリスクもあるのです。仕事そのものが感染リスクであり、四六時中ピリピリしている状態なんです」