実際に住んでみて初めてわかる不満の声は少なくありません。その中でもとりわけ多いのが「コスト」。購入時に想定していなかったお金がかかってしまったという話をよく耳にします。

ひとつは、電気代です。日差しは十分で冬は暖かいけれど、夏は灼熱地獄と化し、エアコン代がばかにならない。あるオール電化のお宅では夏の電気代が月に4万円だと聞きました(ガス代はなし)。これは、眺望などを重視したFIXガラス(開閉ができない窓)により風の通り道ができず、部屋内が暑い空気のふきだまり状態になったことが主な原因です。

続いて、管理費。大規模マンションはそのスケールメリットとして管理費が安い、という情報を耳にすることがありますが、これは明らかな誤りです。

不動産情報サービス会社の東京カンテイの調査によると、5階までの管理費は1平方メートル当たり月額約213円、6~10階が約185円、11~19階が約172円、20~29階が約226円、30~39階が約230円、40~49階が約273円、50階以上が約308円、50階にある広さ90平方メートルの物件に住めば、管理費だけで月額約2万8000円近くになる計算です。

品川にある42階建てのマンション(約2000戸)の年間の管理費合計は実に4億円を超えます。内訳は、管理人・警備員の人件費が月に500万円弱。屋上からゴンドラを吊っての窓ガラス清掃に月100万円以上など。

当たり前のことですが、これらのコストが毎月毎年、永遠に続きます。一戸当たりに換算しても、それはとても「安価」とはいえないでしょう。

管理費とともに毎月口座から引き落とされる修繕積立費も、入居後、数年から10年ごとに、値上がりしていくケースがほとんどですから、住宅ローンを抱える家計にはさらに痛手となる可能性があります。

さらに、タワーマンションのデメリットといえるのが、震災や火災時、地震に強い免震や制震構造がほとんどですが、マンション自らが揺れを吸収するため、高層階ほど大きく長く揺れる傾向にあります。震度の小さい地震でも揺れるため、“船酔い”状態になってしまう人もいると聞きます。