また、過去の取り組みから抽出した項目を列挙するだけでなく、「こうすればもっと成果があがるだろう」という項目をゼロベースで発想していくことも大切である。

次に因果律の強さを見極める「定量化」がポイントとなる。このケースでは、項目ごとに顧客満足度(CS)と顧客期待値(CE)を調査し、数値化した。CEとCSのギャップが大きい項目ほど改善したときの効果が大きい。項目ごとのギャップを比較した結果、取り組むべき課題として絞り込まれたのが色で差別化した項目で、これらに焦点を当てて解決策を立案し、実行した。

効果的な問題解決を行うには、現場での情報収集や仮説を検証するための調査や分析が必要である。「箱を埋めても答えは出ない」のだ。

昨今の環境変化の中では、従来の社会システムや事業運営のフレームワークが通用しなくなっているのに思考はフリーズし、決断を下す覚悟が定まらず、本質的な問題解決に取り組めていないケースが目につく。こうした企業は発生した問題への事後的な対処しかできず、未来を切り開くことは難しい。

問題解決に取り組むうえでもっとも重要なのは「知恵と度胸」である。解決策を考え、失敗するリスクを取って将来に対する決断をいま下す度胸がなければ、決して明るい未来は開けない。ただし、せっかく度胸があっても解決策の精度が低ければ、ただの無謀になってしまう。そこで解決策の精度を高める知恵が必要になる。

実際に取り組んでみて成功する確率が高い解決策を筋のいい結論という。結論の筋をよくするには、アクションに結びつく結論を出すという強い意志と、問題を構造的に考え続ける努力が大切だ。

その過程において、ロジックツリーは問題の構造を洞察するうえで、初心者でも使いやすいツールの一つであろう。

(宮内 健=構成 尾関裕士=撮影)