労働市場は活気を取り戻しつつある。社員の知識や経験をつかみとる戦略がなければ、人材の流動性が高まるなか、あなたの企業は頭脳流出による大変な損害を被る可能性がある。

取り返しのつかない「知識や経験」の喪失

企業幹部の多くは、会社の最も重要な資源は毎晩会社から出て行くもの、つまり社員だと言っている。だが、重要な人材が永遠に会社から出て行く日に備えて会社を守る十分な手だてをとっているリーダーはほとんどいない。そして、景気が回復に向かうにつれて、その日は多くの企業が思っているより早く訪れるかもしれないのだ。

社員の年齢が高くなるなかで──しかも、あらゆる年齢層の労働者がますます転職をいとわなくなるなかで──多くの企業が、競争力と収益性の大きな源となってきた知識(ナレッジ)や経験や知恵の取り返しのつかない喪失を今現在、経験しているのだから、その危険性はなおさら高い。

それを防ごうと思うなら、企業は自社の社員が持つ大量の知識を維持・拡大する戦略的行動計画を今すぐ実行に移すべきである。そのような計画は、次のような目標を持つものでなくてはならない。

●社員が知識を──自分自身の知識も同僚の知識も──がっちりつかみ、広めていく手助けをする
●時間や空間を超えた協働を支援する
●最も効果的に仕事をするために必要な学習支援やパフォーマンス支援を社員が利用できるようにする
●効果的なキャリア開発・向上計画につながる組織構造を築く

知識の喪失とそれが社員の生産性やパフォーマンスに及ぼす影響は、問題が複雑に絡まり合っていることを示している。だから当然、単一の、あるいは一面的な解決策ではすべての問題に対処することはできない。したがって企業は、戦略とテクニックとテクノロジーの組み合わせという観点から考えていく必要がある。

そのようなアプローチをとろうとする企業は、次のアドバイスに従うべきだろう。