打ち上げ花火を見上げてはいけない

「雑音の中の2%」「最初のごく一部の動き」に敏感になれ<br><strong>プロデューサー つんく♂</strong>●1968年、大阪生まれ。シャ乱Q、モーニング娘。などで、数々のミリオンヒットを手がける。2008年8月『一番になる人』(サンマーク出版)を刊行。
「雑音の中の2%」「最初のごく一部の動き」に敏感になれ
プロデューサー つんく♂●1968年、大阪生まれ。シャ乱Q、モーニング娘。などで、数々のミリオンヒットを手がける。2008年8月『一番になる人』(サンマーク出版)を刊行。

夏の花火大会。あなたは何を見ていますか。もし次々と打ちあがる花火に見とれているだけなら、やや能天気かもしれません。ヒット商品を世に先駆けて送りたいなら、「キレイだなぁ」と花火を観賞する人たちの「顔」のほうをよく観察するべきです。どんな花火に反応するのか? なぜあの花火は人々の印象に残っているのか? と。

経済が冷えきった中でも必ずヒット商品のヒントは落ちています。私の経験から言うと、自分が予期しないような身近な場所に転がっている。

ところが現実には、効率重視でマスコミやネットから自分に必要な情報しか探さない人が多いのです。

ポイントは「人の話をよく聞く」ことです。「私は聞いている!」と答える人も多いかもしれませんが、本当ですか?

拙著『一番になる人』でも触れましたが、私はモーニング娘。のメンバーたちが雑談しているとき、こっそり聞き耳を立てていました。出てくる話題は、美味しいスウィーツ、ブランド品のバーゲン情報、あとは芸能人(笑)。この3つが、彼女たちの会話の“鉄板テーマ”でした。

10代の女のコたち、いや女性の井戸端会議はそういうネタが好きなのでしょう。それはそれでマーケットリサーチにはなるのですが、全体の98%はただの“雑ノイズ音”にすぎません。お互いに言いたいことを言うだけ。質問と答えがまったく食い違ったままで、会話になっていない。

しかし、残り2%。くだらないガールズトークの中にも、きらりと光るものが1つか2つはある。何気ないひと言、リアクションに、女のコの心情や潜在的なニーズを感じ取ることができる。彼女たちは無意識にいいメッセージを発している。これらを楽曲づくり(歌詞や題目など)や企画づくりに活かしていくのです。