『いかに「1万9700分の1」の幸運を掴むか』

 

異質を受け入れることがグローバル人材の条件

<strong>アステラス製薬 野木森雅郁社長</strong><br>1947年、愛知県生まれ。東海中学・高校、東京大学薬学部卒。70年、藤沢薬品工業入社。2005年、アステラス製薬代表取締役副社長。06年より現職。化石の収集が小学生以来の趣味。
アステラス製薬 野木森雅郁社長
1947年、愛知県生まれ。東海中学・高校、東京大学薬学部卒。70年、藤沢薬品工業入社。2005年、アステラス製薬代表取締役副社長。06年より現職。化石の収集が小学生以来の趣味。

ビジネスマンにとって最も大事なのは、プロフェッショナリズムをもって仕事に臨むこと。勉強というのは、そのための土俵づくりにほかなりません。ですから、何をどのように学んだらいいかは、それぞれが自分で考え、気づいていくべきなのです。

ただ、他人の意見を「聞く」という態度は、どんな人にとっても有効だと思います。とくに餅は餅屋というように、その道のプロには、外部の人間にはかなわない知識や経験の蓄積があるのが普通ですから、そういうものは大いに利用させていただくにかぎる。そういう意味では、聞き上手な人というのは間違いなく学習能力が高いといえます。

私は、会社の意思決定においても重要な部分は必ず現場担当者の意見を聞き、それを尊重するようにしています。そのほうが、自分の考え方にこだわるよりはるかに間違える確率が減るからです。

では、知らないことは何でも人に聞けばいいのかといえば、それは違います。やはりベースとなるものがまったくないとなかなか理解できませんし、正確な判断も下せません。聞く前に、自分である程度勉強して全体像を掴んでおくことは必要です。

それには、あらかじめ知りたい分野の本を何冊か読んでおくのがいいでしょう。本というのは、著者が勉強してきたエッセンスがコンパクトに盛り込まれているので、ひとつの分野を体系だてて学ぶには非常に効率のいいツールだといえます。たとえ断片的な情報収集しかできなかったとしても、それによってその分野に好奇心がもてれば、後の吸収力が断然違ってくる。この好奇心というのが、新しいことを学ぶ際にはたいへん重要なのです。