現場で得たものを検証するために読む

<strong>藤巻幸夫</strong>●フジマキ・ジャパン副社長。1960年生まれ。上智大学卒業後、伊勢丹入社。2000年独立し、セブン&アイ生活デザイン研究所社長などを経て現職。08年、西麻布にシャツとトートバッグの店「CRUM」をオープン。
藤巻幸夫●フジマキ・ジャパン副社長。1960年生まれ。上智大学卒業後、伊勢丹入社。2000年独立し、セブン&アイ生活デザイン研究所社長などを経て現職。08年、西麻布にシャツとトートバッグの店「CRUM」をオープン。

営業力とは、つまるところ人間力である。だから営業力を高めたければ、現場の仕事に真剣に向き合って自分を磨くことが何より大切だ。本を読んでから行動を起こすのではなく、現場で得たものを検証するために本を読むのが妥当な手順というものだろう。

25年にわたって営業の現場を経験してきて、いま手に取る本は週30冊ほど。その中で血肉となっていくのは、やはり経済原論や物事の本質について書かれたものである。

その「本質を知る」という意味で勧めたいのが『言志四録』だ。厳選された言葉の中に日々生きるうえでの知識が凝縮され、何度読み返しても教えられるものがある。現在のようにマネーがマネーを生む経済構造が限界を超え、崩壊を迎えた時期にあっては、汗をかいてモノを生産し、人を伸ばすことの大切さを実感させる書でもある。

同様に『易學案内』も何度も読み返している。易経はいまから6500年ほど前に成立したものというが、縁と努力によって人が結ばれていくという内容は現代も色褪せることはない。

時代のダイナミックな変化を知るという意味では『クリエイティブ・クラスの世紀』を押さえておきたい。無限の資源となる可能性を持った「クリエイティブ・クラス」という階層を理解することで、新たな時代の到来を感じることができると思う。