「自己肯定感」を高めるための本が多数出版され、ある種のブームのようになっています。これまでに8000人を超える人の悩みを解決してきた心理カウンセラーの山根洋士さんは、自己肯定感を上げよう、高めようとすることの危険性を指摘します。自己肯定感を高めてもいつまでも悩みが晴れない理由とは――。

※本稿は、山根洋士『「自己肯定感低めの人」のための本』(アスコム)の一部を再編集したものです。

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自己肯定感ブームの功罪

私は心のクセを直す「メンタルノイズ」カウンセラーの山根洋士です。

最近、自己肯定感という言葉をいろいろなメディアで見かけるようになりました。これだけ自己肯定感といわれると、「自分はどうなんだろう」と気になってしまいますよね。

すでに多くの心理学者やカウンセラーの方が、自己肯定感の上げ方などを語っています。そんな中で、なぜ私が今、「自己肯定感低めの人」のために本書を書いたのか? ここではそんな話をさせていただきます。

私のところには、いろいろな悩みを抱えた方が相談にいらっしゃいますが、悩みはバラバラでも、ある一点では共通しています。過去にたくさん心理学の本を読んだり、カウンセリングに参加したりしても、うまくいかなかったという点です。なぜそんなことになるのか。ここにこの本の根本があります。

そもそも自己肯定感ってなんなのでしょうか? 私は昨今の自己肯定感ブームで、ここが誤解されやすくなっているのではないかと少し心配しています。自己肯定感とは「自分はありのままでいい、生きているだけで価値がある、という感覚」のことです。

自信があるとか、自尊心が高いとか、ポジティブだとかいったことは実は関係ありません。

例えば自信がなかったり、ネガティブだったりしても「自分はありのままでいい」という感覚があれば、自己肯定感は低くならないですよね。

その感覚があるかないか、どちらかですから、あの人は自己肯定感が50点、この人は30点、その人は90点……などと競ったり比べたりするものではありません。

自己肯定感の強要はポジティブハラスメントだ

だから、自己肯定感を上げよう、高めようとするのは、ちょっと危ないんじゃないかなと思ってしまいます。

自信が持てるなにかをつくらないといけないとか、ネガティブ思考じゃダメだとか、そういう「べき論」のようになっていくと余計に心は苦しくなります。

もちろん前向きなことはいいことです。でも「さあ前向きに!」「うつむいていたらダメダメ!」なんて言われたら、しんどくないですか? これではまるでポジティブの強要、ポジティブハラスメントです。