他人の力を引き出す

ある程度、与えられた範囲の中で自分が機能するようになったとしても、それで満足してはいけません。次の段階があるのです。それは、「他人の力を引き出す」ことです。「他人の力を引き出すのは、その上司の役目」と思っているかもしれません。でもそうではないのです。以下の例で考えてみましょう。

チーム内に、スケジュールから作業が遅れているメンバーがいたとします。ここで、「自分の領域は進んでいるから関係ない」と無関心ではいけません。プロジェクト全体の成果を追求するという観点から、他のメンバーの問題が全体に影響を与えてしまわないように気を配るのは、プロジェクトメンバー全員の責務です。

ここで、もし遅れの原因が、何らかのトラブルが原因で、あなたが以前経験したものと同様のものだったらどうでしょう? 当然、あなたは解決のサポートをするべきです。あなたは経験者なのですから。

もう一歩踏み込んで、こうは考えられませんか? トラブルが発生してから対応するのではなく、あなたがトラブルに直面した時点で、チームメンバーにそれを伝えていたらどうなっていたでしょう? もしかしたら、その後の同様のトラブルの発生を回避できたのでは? タイムリーに他のメンバーに開示し、気づきを与えていれば、新たなトラブルを回避する力をそのメンバーから引き出せたかもしれないわけです。

このように、「他人の力を引き出す」ことは、同僚に対しても可能なのです。うまくコミュニケーションできれば、上司の力を引き出すことも可能になります。こういう考え方は、プロジェクトチームを有機的に機能させる上で、重要です。そして、単なる「作業ができるコンサルタント」から、プロジェクトという実戦で機能する「ひとつ上のコンサルタント」になるには、他人の力を引き出すという視点がとても大切なのです。