――芸能界で仕事をするうえで、先輩に教わったことはありますか。

 以前、TBSのドラマで「三男三女、婿一匹」(1976年)というのがありました。それに私も出演していたのですが、その時、森繁(久弥)のジイから、「俺たちプロの役者はお前に負ける」と言われました。

「一緒にやっていてイヤなのは、素人、動物、それと子ども。アッコは3つとも全部持ってる」。

でも、とってもいいことも教えてくれましたよ。「なあ、アッコ、歌は語るもんだ。そして、セリフは歌え」と。

美空ひばりさんには叱られました。私が、舞台に出る前にはアガってしまうんです、と訴えたら、「何、言ってんだ、バカ」……。

「お前はプロの歌手なんだろう。歌手が緊張してたら、お客はどうすればいいんだ。プロらしくしっかり歌え」

でも、今でも舞台に出る前には緊張してしまう。それは治らない。そういえば同じことを越路(吹雪)さんにも聞いたことがあるんです。そうしたら越路さんは「いいのよ。私だってアガるんだから」と精神安定剤をくれました。ステージに上がる1時間前に飲みなさい、と。言われたとおり、1時間前に越路さんの薬を飲んだら、強烈に眠くなって、もう、私、ふらふらなんですよ。それでもなんとか踏みとどまって、仕事を終えたら、越路さんが「アッコちゃん、ごめんね」って。「えっ、何だったんですか、あれは」と尋ねたら、「私、間違えちゃって、ごめんね、睡眠誘導剤だったの。でも、あなた、よく寝なかったわねえ(笑)」って。

でも、今ではそういった先輩たちが少なくなってしまって。私が先輩の立場になりました。