相手の聞きたいことを話せる人になれ

<strong>ジェイフィール代表取締役 野田 稔</strong>●1957年、東京都生まれ。81年一橋大学商学部卒業後、野村総合研究所に入社。87年一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。同社経営コンサルティング一部部長、リクルートフェロー、多摩大学教授などを経て現職。『不機嫌な職場』(講談社現代新書)の発案に関わった。
ジェイフィール代表取締役 野田 稔●1957年、東京都生まれ。81年一橋大学商学部卒業後、野村総合研究所に入社。87年一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。同社経営コンサルティング一部部長、リクルートフェロー、多摩大学教授などを経て現職。『不機嫌な職場』(講談社現代新書)の発案に関わった。

「わざわざアピールなどしなくても、お互いにわかってもらえるほど能力の高いメンバーが集まった組織なら、プレゼン術なんて不要なんです」

そう語るのは、コンサルティング会社ジェイフィールの野田稔代表だ。

「ギスギスした組織の場合、プレゼン術を磨く前に、本来は人と人の関係から直して、組織を変えることが先決なのです」

メンバー同士の関係がいい職場ほど、無理な自己プレゼンはいらない傾向にあると野田氏は説明する。

「いい職場には、互いに刺激し合って高め合う一種の緊張感があります。お互いが信頼の上に成り立っているから、たとえ厳しいことを言い合ってもギスギスしません。高いレベルで仕事をこなしているので、勝った負けたというレベルの低い話にならない。自分のポジショニングを上げるためのプレゼン術は、理想的な関係が実現するまでの過渡的な態度と捉える必要があります」

では、野田氏が理想とする職場にはほど遠い職場の場合、自分をどのようにアピールすればいいのか。

「実は、話すという行為は、自分が言いたいことを言うことではありません。相手が聞きたがっていることを話すのです。すると相手は喜んでくれ、自ずと自分の評価も高まります。相手の聞きたいことを話せる人とは、相手に対しての配慮がきちんとできる人です」