自然を踏みしめ自分をとことん解放

うっそうと茂るマングローブの密林のなか、ひんやりとした泥に足をとられながらもずんずん進むと、突然視界が開けて青い海が広がった。ここは宮古島の離島・伊良部島。かに漁師をしている吉浜崇浩さんが行うマングローブツアーに参加している。

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海に向かう途中には、先頭を歩く吉浜さんが時々立ち止まっては、前日に仕掛けていた網をチェック。「いましたよ」とかかった蟹を取り出して、私たちに見せてくれる。

「メスの蟹は人間に立ち向かってきますが、オスはハサミを守るために逃げます。ハサミがないとメスにモテないから必死です」

蟹の生態について冗談まじりに話してくれながらも「このツアーで一番伝えたいのは、自然の大切さなんです」と力説。吉浜さんが小さい頃は「今の何倍も自然が残っていた」宮古島の海や浜辺が、埋め立てなどで徐々にその美しさを失っていくことを嘆き、少しでもみんなに自然保護のことを伝えたいという。「蟹目線で自然を見ると、本当に大切なものが何かわかるはず」

マングローブから戻り、大きな蟹をいただく。海を望む席で肉厚の身を味わいつつ「昔の海はどんな美しさだったのだろう」と思いをはせる。

マングローブで生き物たちの神秘を見る