今回の金融危機で気分が塞いでしまうほど資産が目減りしたという方は、リスクをとりすぎている可能性もある。安全性を重視すべき資金を投資に回していないか。そんな観点での確認も必要だ。

この10月に大和生命保険が国内生保として7年ぶり、八例目の破綻となったことは記憶に新しい。生命保険破綻の際、貯蓄機能を重視した保険商品は受取額が少なくなるなどの影響を受けやすい。1990年代前半までの予定利率が高い時期に加入した保険ならともかく、保険は保障を得るためのものと割り切り、貯蓄とは別に考えるべきだろう。

住宅ローンの繰り上げ返済については、状況によって判断が分かれる。

目下、金利上昇の可能性は著しく低いので、とくに返済を急ぐ必要性は薄いが、収入減などで家計が苦しくなった場合は、可能な範囲で繰り上げ返済を検討するのも一考。その場合は、返済期間は変えずに毎回の返済額を抑える「返済額軽減型」の繰り上げ返済が順当だ。

変動金利型や2~3年ごとに金利が見直される固定金利選択型で借り入れている人は、将来的に適用金利が上昇する可能性がある。今なら長期固定型への借り換えなどによって低水準の金利に固定することも可能。いずれにせよ一般的には、金利上昇の可能性が極めて低い現段階では、焦る必要性はないといえよう。

住宅購入、自動車の買い替えなど、大型支出を考えていた方も少なくないだろう。この状況で消費意欲は減退ムードだが、資金が用意できているのであれば、躊躇することはない。マンション、自動車とも販売状況は悪化しており、大幅値引きも期待できる。住宅ローンも低金利での借り入れが可能。今後は審査が厳格化するとしても、十分な頭金、無理のない返済プランが伴っていれば問題ない。

日々のキャッシュフローについても見直したい。支出削減に意識が向かいがちだが収入も重要。専業主婦がパートなど短時間でも働くようになれば、それだけで家計のリスクヘッジになる。

(高橋晴美=構成)