昨年のリーマン・ブラザースの破綻に始まった国際的金融危機は、日本の各産業分野に大きな影を落としてきました。特にその直前まで世界的なオークションハウスで高値が続き、未曾有の興隆に沸いていた現代アートの市場も、大きな影響を受けた、と言われています。

塩原さんが予算をプールして購入したお気に入りの作品<br>
青木克世「予知夢 X」(2009)Courtesy : Roentgenwerke AG
塩原さんが予算をプールして購入したお気に入りの作品 青木克世「予知夢 X」(2009)Courtesy : Roentgenwerke AG

しかしながら、世界のアートへの関心が薄まった、とは言い切れないところがあります。6月に始まったヴェネチアビエンナーレを取材してみても、むしろアートそのものへの興味は増しているように思えましたし、昨今の展覧会やギャラリーの状況を見ても、単純に「市場が縮小している」と片付けられないところがあります。

本当のところはどうなのか。そう考えた私は銀座にアート・オフィス・シオバラを構えるアートディーラーの塩原将志さんを訪ね、お話を伺ってまいりました。

塩原さんは、ギャラリー日動ニューヨークの代表を務めたあと、オンラインで現代アートを販売しているタグボート(http://www.tagboat.com/)の創成期からアドバイザーとして参画、日動コンテンポラリーアート(http://nca-g.com)の顧問も務めておられる方です。世界の現代アートのキーパーソンに最も近く、国際的に活躍している数少ない日本人アートディーラーのひとりです。私とは一緒に若い芸術家を支援するNPO法人芸術振興市民の会(CLA)の仲間でもあります。ヴェネチアビエンナーレのオープニング時期に、グッゲンハイムヴェネチアで行われるVIP限定の優雅なパーティーにもただ一人の日本人ディーラーとして招待されました。塩原さんの知り合いのおかげで他のプレスが入れない場所を取材させていただいた経験もあります。

その塩原さんに、6月上旬、ヴェネチアビエンナーレのオープニング直後に開催されたヨーロッパ最大のアート見本市、アートバーゼルの印象と、リーマンショック後のアート市場について質問してみました。