東京・目黒のミシュラン一つ星イタリアン「ラッセ」のオーナーシェフ・村山太一氏は、2017年からサイゼリヤ五反田西口店でアルバイトをしている。村山氏は「サイゼリヤをお手本にして、自店の席数とスタッフを減らした。その結果、生産性が上がり、スタッフには1.5倍の給与を出せるようになった」という――。

※本稿は、村山太一『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 偏差値37のバカが見つけた必勝法』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

レストランで調理するシェフ
写真=iStock.com/HAKINMHAN
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サイゼリヤで受けた人生最大の衝撃

サイゼリヤでは、160席をたった5人のスタッフで回しています。

これには人生最大の衝撃を受けました。内心、「5人!? 絶対ムリムリ」と思っていたけど、全然大丈夫でした。

開店は11時からなので、1時間前にキッチンとホールの各1名が店に入ります。キッチンの担当者はご飯を炊いたり、コーヒーメーカーやドリンクバーの備品を補充したり、お皿をセッティングしたりします。ホールの担当者はフロア全体とトイレの掃除を30分ぐらいで済ませます。

その間に店長は看板メニューのミラノ風ドリアの前年の売れ行きを見て、その日の天気や店の近くでイベントがあるかどうかをもとに、今日はどれぐらい売れるかの予測を立てます。それに沿ってベシャメルソースとミートソースとご飯をどれぐらい用意しておくのかを決めるのです。

11時の開店と同時に、お客様が次々と訪れます。キッチン担当は、食材をオーブンに入れたり、パスタをゆでたり、料理をつくる合間にお皿を洗ったり、クルクルと動き回ります。ホール担当はお客様を案内したり、料理を運んだり。忙しい時間帯はともかく、普段は4人で十分対応できました。