アライドハーツ・ホールディングス石橋一郎社長。「業界首位を狙います」。

アライドハーツ・ホールディングス石橋一郎社長。「業界首位を狙います」。

ドラッグチェーンのアライドハーツ・ホールディングス(本社・神戸市)石橋一郎社長は言う。

「これまで我々は独自の小売り戦略で展開してきて、取引先メーカーとの協働はしてこなかった。商談はあくまでスポット。がっちり手を結ぼうという発想ではなかったのです。しかし、業界環境は変わっていて、これからの5年間で上位寡占化は進むはず。戦国時代に例えると、いまは桶狭間の時期。こうしたなかで、P&Gのマルチファンクション・アプローチは人材教育面でも、我々が期待するところは大きいのです。アライドは業界トップを目指してますから」

90年代の地価が下落した時代にドラッグストアは出店を加速させたが、地価が再び上昇。さらに09年の改正薬事法をはじめ、構造的な少子高齢化などから再編や合従連衡は進むと見られている。

アライドは、カテゴリーを取り仕切るカテゴリーキャプテンをメーカーに基本的には委ねていない。「カテゴリーキャプテンは、自社商品以外にも他社商品にまで責任を負わなければなりません。重責なのですよ。メーカーではなく、小売りが担うべき。(P&Gに)カテゴリーマネジメントでサポートはしてもらっていますが」と石橋は言う。P&Gチームについてはどう見ているのか。

「基本に忠実であり、営業面で貢献してもらってます。中長期的な戦略が立てやすく安心感があるのは事実です。しかし、問題もある。長雨や冷夏といった気候変動、ライバル社が突然ヒット商品を生んだときなど、急な変化への対応ができないのです。中長期的な計画は、硬直性を伴う。この点、トップメーカーなのに花王は部長クラスにまである程度の裁量があるせいか、柔軟に対応できるのです」

合従連衡が進む卸やドラッグストアは、リベートや人間関係ではなく、消費者に商品を購入してもらうための取り組みを求めるようになってきた。

ケイポートドラッグマート雪谷大塚店(東京都)。卸のあらたとともに、P&GのCM展開に合わせた店づくりをする。

ケイポートドラッグマート雪谷大塚店(東京都)。卸のあらたとともに、P&GのCM展開に合わせた店づくりをする。

一方、GMS(総合スーパー)やライバル企業からの評価は手厳しい。超大手流通の幹部は「GMSにとって日用品とは、集客のための商材。利益を得る戦略商品ではない。このため、P&Gに対しては熱くなれない。シャンプーなど、オシャレ系では、頑張っているという印象はあるが、どこに対しても大切なのは価格交渉。当社は強大なバイイングパワーを持っている。ほかの商材を含め、原価積み上げ方式を、我々は認めない」と話す。

花王の元幹部は「協働などと美しい言葉を使うが、P&Gジャパンの流通政策には本音と建前があるのでは」と指摘。

日用品大手メーカーの幹部は言う。「P&Gが日本の日用品流通を改革してきたといったら言いすぎだろう。メーカーはどこも考え、流通に提案はしてきた。ただし、花王やライオンと比べれば、P&Gは理の会社であり情に薄い体質。合理的なシステムはつくりやすい。結局は、アメリカのモデルが通用しなかったので、流通に近づいて、いまの形になっている」。(文中敬称略)

(相澤 正、水野真澄、川本聖哉、永井 浩、浮田輝雄=撮影)