コーナン商事八嶋和久バイヤー。西宮今津店にて。あらた、P&G、コーナンのノウハウを融合し、髭剃り売り場を改革。

コーナン商事八嶋和久バイヤー。西宮今津店にて。あらた、P&G、コーナンのノウハウを融合し、髭剃り売り場を改革。

一方、従来からのP&Gジャパンの管理店でも、三者協働が行われている。ホームセンターのコーナン西宮今津店は、お父さんが楽しめるお店だ。DIY商材はもちろん、お酒もあり、家具などのほか、何と書店が入っているのである。最新刊を入手でき、一方で必需品であるカミソリも購入できる。

コーナンを展開するコーナン商事(本社・大阪府堺市)商品部DDグループの日用品・化粧品担当バイヤー、八嶋和久は07年春からT字カミソリを担当。それ以前は、奈良店で販売に従事していた。

「P&Gとあらたは、自社ではなく我々、いや、来店客を第一に考えて売り場を提案してくれる。だから信頼できます」

ECR導入以前のP&Gジャパンは、例えば大手小売りに対しては営業がバイヤーと商談して取引条件などが決まっていた。これが導入以降は、先進的な小売業に対して、「マルチファンクション・アプローチ」を採用していく(図参照)。これはITや物流など複数専門部署のメンバーで構成されるチームにより対応していくもの。現在では、さらにパートナー企業間で戦略や情報なども共有する形へと進化を進めている(守秘義務のもと、マルチファンクションチーム別にファイアーウオールはかけられる)。

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コーナンがT字カミソリ売り場を、P&Gジャパンとあらたに委ねたのは八嶋が赴任した昨年春から。メーカーごとではなく、カミソリなどカテゴリー別に売る戦略を考えるカテゴリーマネジメントの導入は、最初は8店舗を対象とした。すると、導入前の3カ月間に比べ、導入後は平均19%も売上金額がアップしたのだ。一番伸びた店は40%増だった。

これはP&Gジャパンが扱うジレットだけではなく、ライバルのシックも伸ばした結果だ。付加価値の高い5枚刃ものを手にしやすい位置に置き、一目でわかる替え刃の案内板を備えたほか、レジ横にも小さな売り場を設置した。成果がでたため、この6月には、35店舗に導入を増やしている。「カミソリで40%増など、いままででは考えられない。カテゴリーマネジメントはP&Gに限らず、昨年からいろいろなメーカーと取り組んでいます。小売りの意見も大いにぶつけ、買い物客にとってのベストな売り場を目指していく」(森崎衛チーフバイヤー)。