モバイル事業で、824億円の損失

楽天の中間決算としては純利益が9年ぶりの「赤字転落」となった。新型コロナの感染拡大で、オンライン需要の高まりによりEC(電子商取引)需要は堅調なはずなのに、楽天の最終損益は275億円の赤字。背景には4月にサービスを開始したモバイル事業の赤字が響いた格好となっています。なぜ堅調なECの売り上げを食い、大幅な損失を出すような、モバイル事業に投資するのか。それは、楽天がこの先、「モバイル通信業界のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」を目指しているからです。その序章としてスタートした「楽天モバイル」の利用者獲得は堅調のようですが、収益化の道筋はまだめどがついていません。

シリコンバレーにある楽天本社
写真=iStock.com/Andrei Stanescu
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楽天の事業は「インターネット」「フィンテック」「モバイル」の3つのセグメントに分けられます。8月11日に発表した決算では「モバイル」事業が大幅な損失を出しています。この「モバイル」事業が「インターネット」事業に影響を及ぼすほどになれば、「ヤバイ」シナリオが見えてきます。

直近の業績を見ると、1~6月までの売上高は、前年同期比15.7%増の6787億円となり、中間決算としては過去最高となっています。「インターネット」事業は、新型コロナで外出を控える動きが広がり、ECでの買い物が伸びるとともに、楽天は一定額以上の買い物をした場合の送料を無料にするなどの取り組みで、ネット通販の「楽天市場」の利用が大きく伸長しました。