市場予測は世論調査より当たる

コンドルセの陪審定理は、人々が将来の事象について賭けをする予測市場の、驚異的な成長と正確さを説明する一助となる。

予測市場の最も有名な例はアイオワ州立大学が運営しているアイオワ電子市場で、この市場は大統領選挙の結果予測で一貫して世論調査を上回る成果をあげてきた。あるいは、ネット上の仮想市場であるオンラインゲーム「ハリウッド証券取引所」を考えてみてもいいだろう。このゲームは新作映画のヒット予測で驚異的な成績をおさめており、2005年のアカデミー賞主要16部門のうち15部門の行方を正確に予測して、アカデミー賞授賞式を前にあれこれ予想する楽しみを一般大衆から奪ったほどだ。

当然ながら、マイクロソフト、グーグル、イーライリリーをはじめとする多くの企業が、社員に予測市場に参加するよう求めてきた。製品が売れるかどうか、新事務所の開設準備はいつ整うか、次の四半期の利益はどうなるかなどについて、「賭け」させてきたのである(念のために言っておくと、予測市場は賭博禁止法に準じて構築されている)。

これらの早期予測は驚くべき正確さを示してきた。たとえばグーグルでは、80%の確率で起きる可能性があると予測された事象は、その80%が実際に起きる傾向があり、60%の確率で起きる可能性があると予測された事象は、その60%が実際に起きる傾向がある、といった具合である。