ある集団の個々の構成員の正答率が50%以上であれば、大きな集団であるほど、答えの正答率があがっていくことがわかっている。だが、いつもそうであるとは限らない。

専門家の意見より多数派の意見?

企業の幹部が自分の会社に関係する何かについて予測したいと思っていると仮定してみよう。この製品は売れるだろうか、この求職者は入社させたらどの程度、成果をあげるだろうか、新しい事務所の開設準備はいつ整うだろうかといった予測である。

ある種の状況では、このような問いに答える最も賢明な方法は、大勢の人間に意見を聞いて多数派の意見を採用することだ。ジェームズ・スロウィッキーが、著書『「みんなの意見」は案外正しい』で述べているように、大きな集団は、あちこちに散在している大量の知恵を集積できるという単純な理由から、専門家よりすぐれた判断を下せることがある。集団による「統計的判断」とも呼ぶべき、この平均的な判断は、往々にして神がかり的ともいえるほど正確なのである。

しかし、統計的判断はときに外れることもある。なぜ正確なときと、そうでないときがあるのか、また、どのような場合に正確で、どのような場合に正確でないのかは、まだあまり認識されていない。