愚行その5
景気回復は経営者の考え方ではなく、
行動によってもたらされると思い込む。

エコノミストのウエズバリーは、「重要なのは態度である」と単純明快だ。「企業経営者たちが現在の回復基調が堅調でないと予想し、回復の確実性を疑えば、そうした懸念はそのとおりになりかねない」。

現在の経済指標を見れば景気の回復に何らかの不信感を持っても仕方がないが、「リセッションの最中は全員が悲観的になるので、楽観的な態度を取るほうが得策」と、プロフィット・プランニング・グループ社長のアルバート・D・ベイツは述べている。「経営者の考え方は、供給業者にも顧客にも伝わる。だから、笑みを絶やさず、ありがとうと言い、問い合わせにはすぐに返答し、問題の解決策を提供することによって会社に貢献できる」。

だが、景気回復が確実になると、マネジャーは有頂天になりすぎると、ベイツは続ける。「たとえば経費に目を配るなど、これまで企業の存続を助けたことをないがしろにする。いつでも起こりうる人間の本質なのだと思う」。

テキサス大学の経営経済学教授で『Re-Thinking the Network Economy』の著者のスタン・リーボウィッツも同意している。「好景気になると人々は強気になり、やがて過度に強気になる。私は経済的要因よりも心理的要因が大きいと見ている。信用度についても投資についても基準を緩めてしまう。いかなる技術も連鎖を変えられるとは思えない」。

※参考文献
“Real Recession, Real Recovery” (The American Spectator, 2002年3/4月号)by Brian S. Wesbury
“The Growth Crisis and How to Escape It” (Harvard Business Review, 2002年7月号)by Adrian J.Slywotzky and Richard Wise
『Re-Thinking the Network Economy: The True Forces That Drive the Digital Marketplace』by Stan Liebowitz (AMACOM, 2002)
『Business @ the Speed of Stupid: Building Smart Companies After the Technology Shakeout』 by Dan Burke & Alan Morrison (Perseus, 2001)

(翻訳=ディプロマット)