2%程度の経済成長は可能

こうしてほぼ18年サイクルで大ショックが日本を襲い、そのたびに日本の成長水準が下がっている。もしそれがリーマンショック後も繰り返されるとすれば、次の大ショックは26年前後で、それまでの18年間の成長水準はほとんどゼロに近い、ということになる。

それは、日本が人口減少期に入ることを考えれば、十分ありうることである。人口が減る国では、経済全体の規模でいえば成長はそれだけ低くなって当然だからである。しかし、成長水準がかえってバブル崩壊後の17年間よりも高くなる可能性を感じさせるプラス要因もないわけではない。リーマンショック後の18年間には、日本産業第四の波は、かなりの確率できそうだと思える。少なくとも2%程度の経済成長を可能にするだけの産業の波はありそうだ。

第一のプラス要因は、中国やインドというアジア諸国の成長である。インドネシアも遠からず成長し始める可能性が高い。バブル崩壊後の17年間とは違った成長環境が日本の近隣で起き始めた。

第二のプラス要因は、日本の産業発展の波の源泉として期待できそうな技術革新が起こりうることである。環境やエネルギーの制約を克服するための環境・エネルギーという新しい分野でのイノベーション競争がこれから本格化していく。その競争に、これまで戦後の3つの産業の波で日本産業が培ってきた技術基盤が活きる可能性が高い。

アジアを中心とする新興国需要の拡大は、鉄鋼・自動車といった重工業、機械工業で日本がこれまで国際的競争力を築いてきた産業が、世界的に再び成長産業になることを意味している。どの国が経済発展するときにも基礎的に必要となる産業だからである。事実、すでに21世紀に入って、自動車も鉄鋼も造船も、世界的には成長産業になっている。その世界的な需要の拡大のしずくが、日本の産業にも回ってくる可能性が高い。いわば、日本産業第一の波、第二の波の産業基盤が、世界的に活きる状況になってきた。

そうした新興国での経済成長はまた、部品・素材といった産業財の分野での世界的な需要の拡大が期待できることを意味する。電子部品を中心とする高機能部品、あるいは機械産業の下支えをするさまざまな加工部品、そして高機能素材など日本企業が世界一の競争力を持っている分野はまだ多い。日本産業の第二の波の発展がもたらした日本での技術蓄積のおかげである。

つまりせんじつめれば、日本産業第四の波の可能性が高いと思える理由は、第一に戦後の長い期間を通しての日本の技術蓄積の深さ、第二にアジアの成長、第三に環境・エネルギー制約という新しい経済環境の登場である。第一の理由は日本の能力についての、第二と第三の理由は日本にとっての市場需要の存在についてのものである。

ただし、いずれも「そのポテンシャルが日本には十分ある」と私は言っているにすぎない。そのポテンシャルを本当に実現できるかどうか、それは日本企業の努力にかかっている。なによりも、経営のビジョンと決断にかかっている。

それを強く望むことを申し上げて、私としては最後の「経営時論」の原稿の締めとしたい。自分のわがままで執筆者として今回をもって退かせていただくが、まだ加護野さんは続けられるし、新しい執筆者も準備なさっておられるという。このコラムはますます発展していくだろうし、私も読者諸氏にはまた別な形で出会うこともあるかもしれない。そのときには日本産業の第四の波の姿が見え始めていることを期待して、さようなら。