かつて世界の二大大国として君臨した中国とインド。多国籍企業の多くは、この両国をオフショアや人件費削減の基地とみなし、現地に対しては一部の富裕層に特化した戦略を立ててきた。

<strong>Anil K.Gupta</strong>●INSEAD教授、経営学博士。チャイナ・インディア・インスティテュート主席顧問。戦略・グローバリゼーションにおける世界有数の専門家。インド経営大学院でMBA、ハーバードビジネススクールで博士号取得。
アニル・K・グプタ●Anil K.Gupta INSEAD教授、経営学博士。チャイナ・インディア・インスティテュート主席顧問。戦略・グローバリゼーションにおける世界有数の専門家。インド経営大学院でMBA、ハーバードビジネススクールで博士号取得。

しかし、両国が再び急激に台頭する今、そこに新たな市場とビジネスチャンスが生まれている。本書では、インド人著者・アニル・K・グプタ氏と中国人の妻ハイヤン・ワン氏がそのチャンスをいかに見出し、.みとるかを指南する。もはや「中国かインドかの二者択一ではない」と著者は主張。両国を視野に入れ、それぞれの補完的な強みを取り入れることで、世界市場での優位を獲得せよと説く。

事実、両国は急速に接近している。「中国とインドは経済面でお互いを強く必要としている。私自身、ここ3、4年、中国に対し、インドを投資対象にするべきだと主張してきた」。

中国企業は世界へと漕ぎ出そうとしており、最も巨大かつスピーディに発展する市場・インドを必要としている。

例えば、中国の大手電気機器メーカー・上海電気のある上級幹部に「中国以外の市場でどこを一番重視していますか」という質問をしたところ、こう答えたという。「インド、インド、そしてインドです」。

一方、インドにも巨大なインフラ革命が起こっており、大量の機器が必要であるが、日本や欧米製より中国製は3割ほど安く、中国系金融機関の融資も受けやすく、インドのインフラ整備に多大な貢献をしている。

「過去10年間の両国の貿易額は、毎年約40%ものスピードで増加している」。ドラゴン(中国)とタイガー(インド)が歩み寄り、さらに巨大な市場が生まれる。

「企業の新興市場への競争は世界的に激化している。日本企業もその動きを加速すべきだ。スズキ、トヨタ、第13共、野村証券、キヤノンなどは世界でよく戦っていると思う」

世界で生き残るために、ビジネスに内向きな「塀を築く」のではなく、グローバルな「橋をかける」リーダーが必須であるとグプタ氏は語る。今、大企業のみならず、日本の中小企業の多くもグローバルに打って出なくてはいけない時代になりつつある。

「巨大企業が海外に出ていこうとすれば、政府の圧力やバリアが働きがちだ。小さな会社のほうが抵抗が働きにくく、成功しやすいと思う。新興市場でうまくやっている小規模な会社は、現地のパートナーを見つけ、市場に切り込んでいる」